【初心者向け】競売物件の購入で感じたリアルなリスク5選|体験談あり
競売物件って本当にお得?初心者でも買えるの?
そんな疑問を抱えながら、私は経済的自由を目指して“はじめての競売物件購入”に挑戦しました。
結論から言うと、思わぬ落とし穴や失敗もありましたが、その中から多くの学びと収穫を得ることができました。
競売物件を購入するのは、安く不動産を手に入れられるチャンスですが、初心者にとっては多くの“見えにくいリスク”が潜んでいることも事実です。
私自身、初めての競売物件購入では「安く買えた!」と喜んだのも束の間、想定外の問題に何度も直面しました。
この記事では、私が実際に体験した“5つのリアルなリスク”を整理し、これから競売に挑戦しようとする方が「後悔しない選択」をするためのヒントをお伝えします。
リスク①:安さの裏に潜む落とし穴|なぜ競売物件を選んだのか
私が競売物件に興味を持った一番の理由は、「少ない資金でも不動産投資を始められる」と感じたからです。
通常の中古物件では、仲介手数料や売主の希望価格により初期費用がかさみますが、競売物件なら相場より安く購入できる可能性があります。
また、当時の私には「利回りを最大化したい」という強い想いがありました。購入価格を抑えることで、リフォーム費用をかけても高利回りが実現できると考えたのです。
もちろん、競売にはリスクもあります。事前に内見できない、占有者がいる場合の対応、法的な手続きの煩雑さなど、初心者にはハードルが高いと感じる点も多々ありました。
それでも私は、「自分の手で不動産の価値を見極め、育てることができる」という挑戦的な部分に惹かれ、競売物件からスタートすることを決めました。

リスク②:入札・手続きの複雑さで失敗しかけた話
競売物件を手に入れるには、裁判所が公表する「物件情報(3点セット)」を確認するところから始まります。私は「BIT(不動産競売物件情報サイト)」を使ってエリア・利回り・物件種別などを絞り込んで探しました。
物件が決まったら、以下のような手順で入札を進めます:
- 入札書類の作成(入札書、住民票、保証金振込証明など)
- 裁判所への入札書類提出
- 保証金(通常、売却基準価格の2割程度)の振込
- 開札(入札の結果発表)と落札者の決定
この時点で、まだ“買える”と確定したわけではありません。最高額を入札していても、裁判所が「買受適格者」と判断する必要があります。
実際に私が入札した際は、保証金として約20万円を事前に振り込みました。保証金は落札できなかった場合は返金されますが、手続きに不備があると無効になることもあるため注意が必要です。
入札書の記入や提出期限など、細かいルールが多いため、事前にしっかりと情報を集めることが大切です。私は最初、手続きの煩雑さに戸惑いましたが、自分で一つずつ調べながら進めた経験が今に活きています。
リスク③:残置物と引き渡しの“現実”に直面
無事に落札されたからといって、すぐに「安心して住める」「貸せる」というわけではありません。
実際には、落札後にもやるべきことがたくさんあります。
私の場合、占有者はいませんでしたが、大量の残置物がそのまま放置されており、処分に手間と費用がかかりました。
ゴミ袋にして数十袋、タンスや冷蔵庫などの大型家具もあり、専門業者に依頼して約25万円程度の費用がかかりました。

競売物件では原則「現況渡し(原状引渡し)」となるため、こうした片付けは買主の責任になります。「きれいな状態で引き渡される」と思っていたら、大きな誤算になるかもしれません。
▼ 落札後の主な流れは以下の通りです:
- 裁判所からの売却許可決定通知
- 残代金の納付(通常1〜2週間以内)
- 所有権移転登記の手配(司法書士に依頼)
- 現地確認・残置物処理・状態の把握
また、今回私は該当しませんでしたが、占有者がいる場合には立ち退き交渉が必要になることもあります。
「強制的に出てもらえる」と誤解されがちですが、実際は法律的な手続きを踏まないとトラブルになることも多いため、弁護士に相談するなど慎重に進めることが重要です。
競売物件には思わぬ「落とし穴」もありますが、事前にそうしたリスクを把握しておくことで、想定内に収めることは可能です。
リスク④:中を見られない=修繕費が青天井
競売物件は「中を見られない」状態で買うため、購入前に建物内部の劣化状況を正確に把握することはできません。
私も外観や3点セット(評価書・現況調査報告書・物件明細書)を頼りに購入を決断しましたが、引き渡し後に現地へ行って驚きました。
- 床下の湿気と腐食
- 雨漏りによる天井のカビ
- 給排水管のサビと詰まり
- ブレーカーの旧式化と電気配線の劣化
「壁紙の貼り替え程度で済むだろう」という期待とは裏腹に、大掛かりな修繕が必要な状態でした。
▼実際に発生したリフォーム項目と費用感:
- キッチンとトイレの交換:約30万円
- 電気配線と分電盤の交換:約25万円
- 床の全面張り替えと補強:約40万円
- シロアリ対策と防蟻処理:約15万円
特に想定外だったのが、電気系統の全面改修にかかった高額費用でした。
当時はまだ第二種電気工事士の資格を持っておらず、すべて業者に依頼するしかなく、コストが大きく膨らみました。
こうした経験から、「自分でできる部分は自分でやりたい」という想いが強くなり、後に第二種電気工事士の資格を取得するきっかけとなりました。
今振り返ると、あの物件でのリフォームは苦労の連続でしたが、実践を通して学ぶ力と専門性の必要性を痛感できた貴重な時間だったと感じています。

リスク⑤:知識と資格がないとコストで大損する
はじめての競売物件購入を通じて、私は多くの壁にぶつかりながらも貴重な学びを得ることができました。
ここまで、私が初心者として競売物件を購入した際に直面した“5つのリアルなリスク”をご紹介しました。
同じようにこれから挑戦しようとする方へ、あらためて注意してほしいポイントを以下に整理します。
🔹リスク①:安さの裏に潜む落とし穴
相場より安く買えるのは事実だが、「なぜ安いのか」を見極めないと、後で高くつくことがある。
🔹リスク②:入札・手続きの複雑さ
保証金、書類提出、入札方法など、思った以上に手続きが多く、不備があると無効になるリスクも。
🔹リスク③:引き渡し後の“現実”
占有者がいなくても、残置物処分や修理、ゴミ屋敷対応など、すべて自己責任。費用も時間もかかる。
🔹リスク④:内部の状態が見えない
事前に内覧できないため、リフォーム費用が青天井になる可能性も。現地調査書だけでは限界がある。
🔹リスク⑤:知識や資格がないと出費が増える
私自身、電気工事で想定以上の費用がかかり、後に資格を取得しました。DIY・法知識・資格があるだけで大きな差に。
競売物件は、一見すると「お得に不動産を手に入れられるチャンス」に見えます。
しかしその裏には、見えないリスク、想定外の出費、想像を超える手間が待っていることも少なくありません。
私自身が初心者として直面したこれらのリスクは、失敗の連続でした。
それでも、ひとつひとつ向き合い、試行錯誤したことで、ようやく「自分のもの」として物件を活かす準備が整いました。
後編では、この物件をどのように再生し、実際にどんな形で活用・収益化していったのかをご紹介します。
この記事が、これから競売物件に挑戦しようとする方の“判断材料”になれば幸いです。
エンパシーエステートでは、競売物件購入に関するサポートやアドバイスも行っています。初めての競売物件に挑戦したい方や、物件取得後の管理にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。